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『ヴィンス、大丈夫?寒くない?』
優しい声は僕だけのものだった
100年前は、確かに僕だけのものだったんだ。

「お前、どうしてあんなにブレイクが嫌いなんだ?」
「どうして?」
「いやどうしてって・・・ばったりパンドラで出くわしたときに殺気の飛ばし合いしてるだろ。あれの真ん中に俺を挟まないでくれと言いに来たんだが、ついでに理由が気になってな」
理由、ね。
「・・・強いて言えば、僕から兄さんを奪ったことかな」
「は?」
「あ、良いよ意味分からなくて」
「?」
“利用”って形で兄さんを縛り付けて、オズ君のことしか考えさせなくした。そうじゃなくたって、兄さんならずっとオズ君のことしか考えてなかっただろうけど。
でも希望をちらつかせてそれを助長させたのは帽子屋さんだ。
「あと、ギルを苦しめた」
目的の為に手段を選ばないように教えたのも彼だ。だから、今でこそ顔色一つ変えずに人を撃てるようになったけど、人を傷付けることを好まないギルが、ナイトレイの裏仕事に慣れることができなくて苦しんだのは彼の所為。
「僕は結局兄さんが大事なだけだよ」
その声が誰か僕じゃない違う名前を紡いで、
僕じゃない誰かに向けられるとき。
僕が感じる得体の知れないどす黒い感情をきっとギルは知らないだろう。
知らないままで良いよ。
知らないままで良い。

「・・・ギル」

「何だ?」

名前、呼んで。

「?・・・ヴィンス」

うん。
兄さんがどれだけ僕を怖がったって、向けられる声はいつも優しいんだ。

それだけで良いかな。

僕らは血で繋がってるし。
きっと誰よりも、深いところで。

「・・・大好きだよ、ギル」


“声”

(でもやっぱりその声は僕だけのものであって欲しかったな)
(そんな、幼いわがままを抱えることも)
(きっと優しい君は許してくれるんだろう)









何だろう、ヴィンス書くとすごく純粋な良い子になる←
もっとヤンデレだと思うんですが←
まぁでも100年前の真相知ったら、ね・・・優しくせざるを得ない、この兄弟。
 


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