short-ph | ナノ



 19/25





ギルバート君は嘘が吐けない。
壊滅的に嘘が下手だ。そして隠すのも苦手。この世界で生きて行くには些か障害が多い性格だと思う。
が、何だかんだで彼は殺されることも裏切られることもなく、順調に成長して今に至る。

「・・・君は不思議ですネェ」

は?とでも言いたげな顔をした。ほら、分りやすい。
「君は分かりやすいくせに私の予想をことごとく外してくれるんですヨ。斜め37度くらいをかっ飛ぶこともありマス」
だから飽きなくて楽しい。
「・・・お前の戯言に耳を貸した俺が馬鹿だった。意味が分からん」
そうでしょうネェと言って笑った。
彼は嘘が下手なことに加えて、人の心の内が読めない。
全く不器用な性格だ。指先はとても器用なのに。

「ま、嘘吐きよりは良いですヨ。愛されやすいデス」

何ですカその面白い顔。
「・・・お前がそんなこと言うと気持ち悪いな・・・具合が悪いのか・・・?」
「あっはっは。失礼な」

私は君のことが大好きだって話ですヨ。


“正直者”

(損も多いかとは思いますが)
(たまに得られる得は大きいですヨ)
(だからそのままでいてくだサイ)

 


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -