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悔しかったんだ
少女のように細くて華奢で
柔らかく笑っていた君を

守るのは、主(俺)の務め(特権)だったのに

「んー・・・」
「・・・オズ?何やってるんだ?」
「・・・ホントでっかくなったよなぁ。ギルってば生意気」
「生意気って・・・10年も経てば変わるだろ、そりゃ」
そうだ、10年。10年も放っておいたら、あの小さな従者は長身の青年になった。体格はしっかりしているし、剣を持つことすらままならなかった腕は、自分を抱え上げることくらい容易くなった。

もしも、あのとき。

オズがアヴィスに堕とされていなかったら。
その腕は剣を持つこともできないままで、柔らかく笑っていたのだろうか。
華奢なまま成長して、自分より背が低かったのだろうか。

「あーあ・・・」

遠いなぁ

「オズ・・・?」

ねぇギル

「絶対抜かしてやるからね」

待ってろよ

今は背伸びでも、届かないけれど。


“背伸び”

(抜かしたら、今度は俺が抱え上げてやろうかな、とか)
(今度こそ俺が守ってやるからな、とか)
(一方的な約束を)








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