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「ギルってさ」
ノックもなしに主人が部屋に入ってきて、驚いたのも束の間今度は自分が今まで寝転がっていたベッドに乗り込んできた。流石に寝たままは悪いと思って起こそうとした身体はやんわりと制され、オズもギルバートと同じようにベッドに寝転がる。
「よく溜息吐くよね。癖?」
質問の意図もよく分からない。何がしたいんだこの主は?
「さぁな。でも外的要因がほとんどだろうから、癖とは言えないんじゃないか?」
「その要因の中に俺も含まれてる?」
「・・・そうだ、と言ったら?」
駄目だ。全く考えが読めない。混乱してきた。
「具体的に訊くよ。ギルの溜息減らせるように。癖じゃないなら減らせるかなーと思ってさ」
「・・・何でだ?」
我慢できずに訊いてしまった。オズの唐突な行動とよく分からない言葉は、自分に遠回しに何かを伝えようとしているサインだ。
これは、オズの癖。
「んー・・・ほら、溜息って幸せが逃げるって言うでしょ?」
なるべく自分で考えるようにしてはいるが、それでも分からないことの方が多い。
だからこうして、こちらから尋ねることで真意を暴く。
頷いて先を促せば、むくりと起き上がって翠を真っ直ぐ金に向けた。

「俺は、お前の10年分の幸せを奪った。だからもうお前の幸せを奪いたくない」

思えば、暴かれた真意はいつも。

こんな風に、ギルバートを気遣うものだったかもしれない。

「・・・ハァ」

溜息を吐く。

10年の幸せと、たった15のその背に背負わされた酷な運命と。
どちらが重いかなんて、歴然としているじゃないか。
なのに彼はいつもそうやって他を気遣って自らを顧みない。

俺の幸せと引き換えに、お前の背負わされたものを少しでも共有できたら良かったのに。

「・・・癖、かもな」

だから直せそうにもない。

お前が、自分の幸せを願えるようになるまでは。


“癖”

(俺はお前に何をしてやれる?)
(答えに行き着くことはまだできない)
(もどかしさを抱いてただ、その幸せを希う以外には)










互いに互いを大事だと思ってる気持ちが一方通行

そして空気を読まずにまた主張。まだしりとり続いてます!←
 


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