ヨルカミ

夜の帳に星が砕け散っていく
生暖かい風が髪を揺らし
街に背を向けた太陽は何を見るのだろうか
赤く裂けた満月が秘かに哂い出す

どうか振り向いて

欠けた翼の欠片がこの左胸に深く突き刺さる
茨の揺り籠に神の娘は堕とされて
硝子の檻に届かない嘆きを謳いながら
ありもしない傷痕が痛んで堪らない

どうか私の名を呼んで

慰めも励ましも要らない
あるのはただの存在感

どうかこの御手(て)を放さないで

君が背負うものは大き過ぎるから
宝石の外された王冠は輝きを失っても
君の誇りは奪われない

裸足の足はこの道を走り続けていく
蔑みで投げられた石を
僕は受けることが出来るだろうか


すべては御心のままに


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