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 「性転換(夢主) …19」



朝起きたら男になっていました


「…あら」


声を発してから自分の声音も低くなっていることに気が付く
渋い低音だ、それもそうか自分はちっとも若くないのだから
起床した時の自分の手が妙に筋張って大きく感じた
起き上がって裏表と返して観察するがやはり普段の自分のものではない
他の部位に変化はないのかと一通り確認して自分が男になっていることに気が付いた
隣には同居人がまだスースーと眠っている

取りあえず起き上がり、好奇心のままに脱衣所へ向かった
鏡に映った男は、切れ長の狐目に元のままの長い黒髪だった
なかなか顔立ちは男前だ
顔は女の時よりもえらが張って多少男らしくなっているが優男の印象
全体的に筋肉量は多くないが標準的な体格だ
女性ものの襦袢を窮屈そうに纏っている
取りあえず顔を洗い、髪をいつもの通りに整える
男性がしていても可笑しくはない髪型だ

着替えはアカギの黒い着流しを拝借した
アカギは寝間着に洋服と着流しを着まわしている
ひとまず身なりは整えた

いつものように台所で朝食を作っていると、後ろから声を掛けられる


「あんた誰」


振り返るとアカギは柄にもなく驚愕していた
悪戯に成功した心持がして思わず笑顔になる


「…なんで男になってるの」

「朝起きたらこうでした。私が聞きたいですよ」

「なんかその見てくれで敬語だと違和感があるな」

「うふふ」

「オカマみたい」


柔らかいものごしと言葉遣いに男らしい背格好は確かにちぐはぐだった


「言葉遣いも改めなきゃいけねぇなぁ」

「それはそれで変な感じ」


飛び出してきたのはべらんめえ口調だった
元々その筋で生きて来たのだから狐にとっては普通なのだがアカギには違和感が残る


「ま、色々可笑しな気分でしょうが、頑張って慣れてください」

「楽しそうだな」

「ええ」


男でも別に差し支えは無い
寧ろ男であった方が博打の世界で苦労してきた諸々の心配が無くなる
女性というだけで蔑視される世界だ、少なからず男性に憧れていた
朝食のご飯と焼肴、味噌汁、酢の物を卓袱台に並べた


「そういえば背、同じくらいですね」


アカギを後ろから抱きしめてみる
体格はアカギの方が筋肉質で引き締まっている
背は同じくらい
力はどちらが上だろうか


「このまま色っぽいことしてもいいんですよ」


そういってアカギのシャツに手を滑り込ませると手首を掴まれた


「オレが触られるのは遠慮する」


腕を跳ね除けると振り返りアカギは意趣返しで押し倒した
冗談のつもりだった狐の瞳は見開いている


「私、男ですけど」

「関係ねえな。あんたがどっちだろうが」


元々女だと思って好いた訳じゃない
顔色一つ変えずにアカギが言ってのけるものだから、不覚にも胸の奥に響いた


「ちょっと、ぐっと来ました」

「そりゃよかった。それより飯食ったら博打やりに行こうぜ、あんたの腕がどんな風に変わるのか見てみたい」

「それいいですね」


結局二人ともギャンブル狂だ
先ほどまでのやり取りなど忘れて朝食を済ませさっさと家を出て行った
いつ性別が元に戻るのかなど露程も考えなかった
正直どちらでも関係は変わらないからだ






拍手小説アンケート企画第二段


男主って需要あるのかしら… 。
それとも需要があるのは夢主の男体化?
女の夢主には見せないアカギの色っぽいところ?


実は夢主男体化はもう少し書きたい




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