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 大掃除…13


「こっち終わったよ」

「ありがとうございます。アカギさん、今度は二階の掃き掃除お願いします」

「わかった。埃が酷いから窓開けて良い?」

「どうぞ」


バタバタと朝から騒がしく働き回っている
一年の汚れを落とすべく、悪鬼と狐は年末の大掃除に終われていた
アカギがとんとんと二階へ上がっていくのを横目に、水野は大量の洗濯物を次々と洗っては干していく
一階の掃除はもう終わっていた


「ゴミを纏めたゴミ箱、下に持っていった方がいい?」

「お願いします」


二階の階段上から響いてくる声に答えると妙な心地がした
なんせ去年まで一人で掃除をしていたのだ
暫くするとゴミ箱を持ってアカギが降りてきた
ごみ袋にゴミを纏めると土間に乗り上げている大量の洗い物を忌々しそうに見つめている


「まだまだあるな」

「ええ、ちょっと洗ってくださいよ。手洗と洗濯板は出てますから」


水野が指差す先には水が溜まり、泡立つ大きな手洗があった


「なんで冷蔵庫はあって、洗濯機が無いんだ」

「洗濯物を踏み洗いするの、楽しいじゃあないですか」


開け放しの硝子戸を潜り、庭に出た
渋々スラックスを折って、アカギが手洗に足を浸すと、冬の寒気で冷やされた水が身に染みる
適当な量の洋服をぶち込んで、じゃぶじゃぶ洗う
風は無く、日の光が温かいのでそこまで寒さは気にならない
体を動かしているとむしろ暑いくらいだ
もうひとつの手洗でアカギが粗方洗い上げたものを水野が洗い流し、シワを払って物干し竿にかけていく
時折大きなシーツが払われるとアカギに降り注ぐ日光が遮られ、白いシーツがきらきらと光った
シーツ越しに見る太陽は、金の飴玉のようだ
括った着物の袖が洗い物をを叩く度にひらめいた
見上げると眩しいのはきっと空だけではない。


「そろそろ一息着きましょうか」


笑う狐に足踏みを止めると、水は足を包んでさわさわと揺らめいた




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