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 「緊縛…19A」


「ちょっとした博打をやらないか」


ホテルの窓際で暇を潰しているとアカギが、声を掛けてきた
こういう場合は大概ちょっとしたひねりが聞いている


「内容は?」

「勝負は何だって良い。但し、負けた方は相手の言うことを今日一日聞く」

「遂に私の身にも振りかかって来ましたね、fkmt二次創作あるある」

「何か今すごく突拍子も無いことを言ったな」


アカギには何か企みがあるのだ
この悪魔の言うことを聞くなどリスクしかない
勝てる勝負を選ばねばならない
思い付く限りで麻雀以外の自分が一番得意なものを選ぶことにした


「…では、コイントスで」


自分の財布から硬貨をアカギに渡す
硬貨を調べながらアカギは賭けの取り決めを進める


「こっちが挑んだ勝負だから、俺が投げるよ。どっちに賭ける?」

「表で」

「俺が裏ね」


人差指に乗せた硬貨を勢い良く、親指で弾いた
握った掌から現れたのは、表だった


「あらら」

「アカギさんの天運に負けるかと思いましたが、コインの重量の方が勝ったみたいですね」

「やっぱりあんたから貰ったコインは不味かったか」


アカギは入念に調べていたようだが、裏と表の重量は本当に微々たるほどしか変えていない
イカサマとも言い難いお粗末なものだ
このくらいでないとアカギにはわかってしまう
アカギに勝ったのはほんの少し上乗せした運だ


「見抜けなかった以上、負けは負けだな」

「さて、何をしてもらいましょう」


咄嗟に思い付かないので、アカギを見回すように立ち上がると足元に紙袋を見つけた


「…それは何です?」

「見る? 勝ったらあんたに使おうとしてた」


渡された紙袋からは赤い紐が出てきた
紐というよりは縄に近い太さだ
アカギに負けていたらこれで縛られていたと思うとぞっとした
逆にこれでこの悪魔を縛ったら面白いかもしれない


「じゃ、これにしましょう」

「縛れるの?」

「大丈夫ですよ、あまり綺麗には出来ないかもしれませんが…ベットに座ってください」


アカギが指示をされて手首を合わせて前に出す
縄をくるくると巻つけ、左右の手首の間に縄を通すし、固定をする
このまま前で縛られるのかと思っているとそのまま腕を高く上げ肘を後ろに折る形になった
調度手首が頭の後ろに来る

そのままの体勢でいると胴に縄が回ってきた
縄は胸の下一周して、背中で交差する
今度は胸の上を反対回りにもう二周
体勢は未だに不安定なまま
手首が背中に偏って引っ張られている
背中でいくらか縄が通い、それは左の手首から肘に回っていく
二の腕まで確りと固定し、肘を通されると左腕は後ろに曲げたまま動かせなくなった
右の腕も同様に縛られる
背中で残りが結ばれると、腕に加わる力が安定して、動かせなくなった


「大丈夫ですか?」

「ああ」

「所謂諸手上げ縛りです…まだ続きますよ」


袋の中にまだ縄が残っていることを確認して、狐は緩く笑った
そっとアカギの肩を押して横にすると上に乗り上げる
白いふかふかとしたシーツにアカギが沈み込む
狐は取り出した縄を縛られているアカギの腕とベットの枕元に通わせ始めた
腹に乗り上げて縄を扱うので、着物の袖や後でよわいた髪がアカギの腕や顔に擦れた
跨いだ着物の袷から膝が覗いている
アカギからしてもなかなか扇情的な光景である
妖しく笑って体のあちこちに触れるので、流石のアカギも上の異形に手を伸ばしたくなるが、縄が邪魔をする
肘だけでなく手首にも縄を滑らせて完全にベットに固定してしまう


「…これ、取ってくれない」

「もうギブアップですか」


興が乗ったのか、残りの一本でついでにアカギの左足も膝を曲げた状態で縛り上げた狐は満足気だった
白い肌に赤い縄はよく似合っている
この化物がベットに縛り付けられ自由が効かない状態は色気がある
心なしか呼吸が浅いのは悪魔でも逆らえない男の性か
欲情の炎を灯した瞳が下から向けられるのは心地好い
アカギの心を少しでも動かしているのは自分なのだ
もう一度アカギに覆い被さり、シャツのボタンを上から順に見せつけるよう外していく


「これからが楽しいんじゃあないですか」


もう少し化かしてやろう
腹筋の着いた腹に手を滑らせて狐は笑った






拍手小説アンケート企画第四段


アカギを縛る





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