8-4
人並み以上の腕前ではあるが、化け物には程遠い
今の水野はそんなところだった
「麻雀、強いのですね!」
博徒が語るには賭け事が一番だと思い、負けたら自分のことを話すというルールの元、勝負をしたのだが、すっかり懐かれてしまった
「ここでどうして西切りなんです? 私の暗刻を読んでいたんですか?」
興奮した水野がぐいぐい来るのでアカギは少し戸惑っていた
アカギの思考を教えると凄い凄いと喜んだ
このくらいの年なら麻雀がわからなくとも可笑しくはないので、頭が良いのだろう
「麻雀の神様みたい」
はにかんだ顔は少女特有の愛らしさがある
年の離れた妹が出来たようだ
13の自分を拾った時、水野も似たような心境だったのだろうか
気がつくととっくに昼時を過ぎていた
朝食で冷蔵庫の中身は使い果たしてしまった
「飯、食いに行くか」
「行きます」
「しかし、その格好は目立つな…」
水野の着ている服はきらびやかで外向きでは無かった
年齢の割に大人っぽいので、背伸びをしている感が否めない
「あん中から好きなの選んで着な」
水野の鞄を指差してアカギは我物顔で言った
着物ならお端折りでなんとか丈も調節できるだろう
水野は朝顔の着物を選んだ
初々しさが柄によく似合っている
「行くか」
「ええ」
短い足でちょこちょこと水野はアカギに付いて行った