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男が殴られた衝撃で、支えを失い倒れた水野が起き上がった
先程までえげつない打撃音が聞こえていたが、今はそれも止んでいる
未だに手拭いが取れていないので、アカギがどこにいるのかわからない


「その格好、中々そそるぜ?」

「悪趣味ですよ」


結び目が固く、手間取っていると後ろから手拭いが引き上げられた
薬指がかけているので、何かを握り混んで力を入れたり、細かい作業に左手は向かないのだ
暫くするとたっぷり血を吸った手拭いが膝の上に落ちた
アカギが目の前にやって来て、髪をかき上げ怪我の状態を確認している
声はいつもと変わらない様子だったが、視界が開けたことで正確に感情を読み取ることができた


……だいぶキレていらっしゃる


「…左目、見えてる?」

「なんとか」


目の近くを打たれたので、瞼が腫れ上がって視界を狭くしていた
麻雀卓に顔を打ち付けられて、顔中が痛かった
鼻血は出ていないが、下にあった麻雀牌で唇を切っていた
指先でなぞられるとちりちりと傷む
相変わず頭痛が酷く、くらくらする


「もう少し元気そうなら、仕置きにこの場で犯すんだけどな」

「不可抗力なので勘弁してください」


目がちっとも笑っていない
襦袢の襟を寛げられて、首の付根を強く噛まれた


「いっ…」

「これで許すさ」


アカギはひょいと水野を俵持ちして、ドスを手に事務所を後にする
転がっている男達の呻き声が聞こえるので、死んではいないようだ


「どうして、ここがわかったのです」

「安岡さんが、偶々赤富士に今日行くなって電話を寄越したんだ」

「ああ、なるほど」


後は店員がアカギに気圧されて、経緯を話したと言う訳だ


「また、引っ越さなきゃな」

「大丈夫ですよ、幽遠寺さんがああいう輩は潰してくれますから」


水野から七年ぶりに連絡があったとなれば、彼も喜ぶだろう






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