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目を覚ますとそこは事務所のような場所だった

事務机や、書類を入れた本棚、木彫りの置物、額縁に入った文字など典型的な調度をしたその部屋のソファに水野は座っていた
手は後ろに回されて、布かなにかでまとめて縛られている

目の前には先程のインテリ風の男が座っていた


「気分はどうだ? すまねえな、うちのが乱暴して。この通り荒くれ者ばっかでよ」


ずきずきと打たれたこめかみが傷んだ
かなり強くやられたので、鬱血しているだろう


男の言葉が形だけのものであることは口の端からわかる
井の中の蛙が偉ぶっている典型

水野が大人しくしているのをいいことに、目の前の男が演説を垂れる


「あんた目立つなりして、強いらしいじゃねえか、うちにもファンがいるんだぜ。是非ともその腕前を見てみたくてよ、呼んだんだ。眼鏡にかなえば、代打ちにしてやってもいい。うちは出来たばかりで活きの良い馬鹿ばかりだ、使えるやつはまだまだ少ない。当然代打ちも足りてないのよ」


囲いこんで実力次第では、無理矢理使おうということか。


「麻雀、やってくれるよな」


にっこりとこちらに笑いかけて見せるが、目は手を煩わせるなと警告している
ここまで来ては簡単には帰してくれないだろう

やくざ相手に麻雀は久しく打っていなかった
たまの腕試しにいいかもしれない
危なくなったらその時はその時で考えよう


「いいでしょう」


不敵に笑ってみせた水野にやくざ達は拍子抜けをした様子だった






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