7-3
雀荘赤富士は平素と変わらない様子だった
少し客が少ないが、その代わりに身なりの良いものがちらほらいるくらいのものである
このくらいは日ごとの変化の範囲内だ
水野はサマを使わずにかなりの勝ち星を重ねた
当然貰う金額も大きくなる
勝ちすぎても出禁になるので、そろそろ引き上げようと思った時、大きな扉の音と共に派手な柄のスーツの男達が店に入ってきた
顔は若く、装いも水野の付き合っているような者達と違ってちゃらちゃらしている
店員がぺこぺこしながら、一同を迎えると、その中で唯一全身を真っ黒で揃えたインテリ風の男が奥へ案内されていった
他の者は客に絡んだりして暇を潰している
枡視達と違ってまったく筋が通っていない連中のようだ
皆若いので、手荒いやり方で成り上がった新進気鋭の無法者達と言ったところか
こういった者達はもはや任侠ではないので、関わるとろくなことがない
ここはやくざの資金源の一つだったか
下手に動くと面倒なことになるので、そのまま見守っていると声をかけられた
「姉さん、だいぶ勝ってるらしいじゃねえか」
自分のことが伝わっているとは。
警戒をしながら振り返った水野も、突然こめかみを拳銃のグリップで殴られるとは思わなかった
大きな衝撃と痛みに、水野の意識は卓に沈んだ