6-5
「どうぞ」
アカギの家に来てしまって後悔をした
ここは悪魔の住処だった
横になったアカギはかけ布団を広げてみせている
ここでの生活はアカギが圧倒的優位であろうが、思い通りになるのはやはり癪である
もう12時は回ろうという時間だった
風呂を上がってから、だらだらと煙草を吹かしていたらこんな時間になっていた
「お邪魔します」
仕方なく、布団に潜り込む
水野は襦袢一枚に、髪を解いている格好だ
アカギと向かい合って横になると、首から腕を通される、腕枕の状態だ
そのまま抱きしめてくるので、腰に手を回して胸元に顔を埋める
女性と違って硬いが、なぜか安心する
13歳のアカギと何度か一緒に寝たことがあったが、あの時はアカギの頭が水野の肩に来るくらいの体格差だった
今はアカギの方が肩幅もあり、未熟だった体も成人のそれになっている
アカギが水野の髪に指を通すと毛先で絡まって引っ掛かった
「髪、ごわごわだな」
「石鹸で洗うとこうなります」
「今度違うのを買ってくるか」
「別に構いませんよ」
本当に傷んだ髪のままで水野は良かった
身なりは最低限で良い
アカギの好きなようにさせておいて、水野は眠ることにした
向こうも満足したのか、それ以上何をするでもなく眠りについた