6-3
水野が作れないからと中華料理に舌鼓を打った帰り道
二人はネオン街を歩いていた
安っぽい連れ込み宿や、飲み屋、雀荘、怪しいキャバレー、バーなどがところ狭しと乱雑に並び、ぎらぎらと通行人や客引きを照らす
時刻は21時を回っているというのに、通りは賑わっていた
「あんたってこういう所は来るの」
「喧しいのは得意では無いですからね、あまり…」
「そう」
「アカギィ」
突然後ろから怒号が聞こえた
振り返ると角材を手にした物騒な輩が、こちらに向かって歩いてくる
「面倒事はあーたが運んで来ますね」
「そうでもないだろ」
流石に大通りで騒ぎを起こすわけにもいかないので、脇道から路地へと入った
「逃げるのか、ワレェ!!」
数人の男達が鬼の形相で路地へ駆けていく
アカギ達が右に曲がったので巻かれるわけにはいかないと、足を早め右へ方向転換をした時、
その予想は顔面への衝撃で裏切られることになった
曲がり角で待ち伏せをしていたのだ
アカギの拳が先頭の男の眉間に当たる
二番目を走っていた男が反射的に後で崩れ落ちる先頭を目で追った矢先、その額に鞘に収まったままのドスが叩き込まれる、水野である
突然のことで勢いを殺せずに数歩通りすぎる男達をアカギと水野がタコ殴りにしていく
幾分か片が付いた辺り、水野は振り返ると、そのまま手にしていたドスをアカギの顔に向かって勢い良く投げた
そのドスはアカギの顔の真横を抜け、はっ倒されて立ちあろうとしていた男に直撃した
男が堪らずに倒れ込む
数分足らずであっという間に7人を伸してしまった
それなりの数を相手にしたのだが、アカギは息一つ切らしていない
「化物ですか、アカギさん」
「…やるね」
久々に血沸き肉踊ることをしたので、アカギの瞳が獰猛さを露にしている
少しは落ち着いたのかと思ったがこの辺は変わっていないようだ
側にいるとどんな火の粉が降りかかってくるかもわからないので、水野はそそくさと帰ることにした