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アカギが住んでいるという家は、6畳半ほどの居間と寝室が隣についた簡素な家だった
玄関から廊下が居間に伸びていて、廊下の左右に手洗いと風呂がある
使い古された団地の一室である
殆ど風呂に入って寝るだけの用途で使われていたのだろう
実にアカギらしい
それなりに上等な着物の水野が家に上がると、色の抜けた畳と水野の倒錯が激しい
まるでアカギが本来あるべき場所から、ここに無理矢理閉じ込めているようだ
「適当に荷物は置いて」
「はい」
荷物をその辺に置き、居間の机に水野が正座をした
水野が重い腰を上げてここまで来たという事実、手に入れたという実感にアカギは目眩がした
場繋ぎに茶でも出せれば良かったのだが、留守にしている時間が長く、生憎食料品全般が何もない
「今度は私が賭場で宿代を稼がねばなりませんね」
そういって煙草に火を着けると、水野は薄く笑った
博徒の水野とは、未だに麻雀で対戦したことがない
いつか自分の手で完膚なきまでに叩きのめしたいとアカギは思っていた
事実、今も機会を伺っている
「何も食べるものがないから、食いに行こう」
いずれ耐えきれなくなって喰らってしまうかもしれない