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「花火、持ってきましたよ」

「あら、本当にやるつもりだったのですね」


窓を開け放った居間には蚊取り線香の匂いが漂っていた
アカギが声をかけると夕涼みをしていた水野が振り替える


「そろそろご飯にしましょうか」

「今日は何」

「素麺です」


水野は早速台所へ向かった
先程まで使われていたうちわを拾い、アカギが扇いでいると、ものの十分ほどで水野がボウルやめんつゆの乗った盆を手にやってくる
アカギも立ちあがり、台所から他の料理や箸などの配膳を手伝った


「なんで、さくらんぼ」


ボウルに浮かぶ麺の上にはさくらんぼが一つ添えてある


「色どりです」

「よくわからねえな」

「明るい色があると美味しく見えるみたいですよ」

「ふうん」


口に含むと冷たさが広がり、麺のぬるぬるとした歯ごたえを感じる
食べ進めるうちに冷たさがじわじわと体にまで行き渡っていく
ネギや海苔など薬味を入れて食べると鼻を抜ける香りがした
昼間の熱が溜まった体が冷やされて食が進んだ






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