3-1
近くのスーパーまで行った帰り道
空から雫が水野の頭に当たった
「降ってきましたね」
「今日雨予報だったっけ」
「濡れると着物は面倒なんですよね」
少しの雨くらいではどうということはない、歩調も早めずに歩いていると一気に勢いを増してバケツをひっくり返したような雨が振りだした
「わ」
水野が遂に脇目も降らずに走り出した
アカギは普段雨など気にも止めないのだが、水野が駆けていってしまうので続いて足を早めた
大きく踏み込むと泥が跳ねる
なんとか家にたどり着き、びしょ濡れで家に上がる
「タオル…取ってきます」
息も絶え絶えに水野は薄暗い廊下の奥へ歩いていった
アカギは買い物袋の中身を冷蔵庫へ入れておく
夏の空は荒れやすい
窓の外が一瞬光り、雷鳴までも鳴り出した