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その後はアカギの一方的な優勢でことが運んだが、対戦相手の女性は最後まで面白そうに打っていた
アカギが大きな役で上がる度に回りの女達が囃して誉めちぎった

沢山騒いで酔いが回り、半荘の勝負が終わる前に皆眠ってしまった
そんな彼女らをなんとか起こし、全員をタクシーに乗せるなどして帰し終わる頃には夜中になっていた


「一段落ですね」

「あんたいつもこんなことやってるんだね」

「今日のは大変な方ですよ」


なんでも無さそうに食器を片付け、皿洗いを始める


「アカギさんもお疲れでしょう」

「麻雀打ってただけだから、いつもと変わらないけどね」


賭けるもののない勝負はアカギにとっては遊びだった
本当に求めているものとは程遠い
ただ、上がるだけであんなに歓声の起こる麻雀は初めてだった

赤線の女性は酸いも甘いも知っていて、アカギのような白子にも普段と変わらない態度で接した
悪意の無い人間の存在を認識したのはこれが初めてかもしれない
南郷とは利害関係が最初に一致してしまったために、確信にまでは至らなかった

集団の中心に自分がいるというのは、一匹狼のアカギにとって不思議なことだ

光と闇の両方を知ってもアカギは迷わずに闇を行くことを選ぶだろう
ただ、片方しか知らないで選ばざるを得なかった場合と自分で選び取った場合では強度が違う


水野は無意識にアカギに両側面を教えようとしていた


「もう大丈夫ですよ、おやすみになって」

「明日も大した用事は無いんだ、手伝いますよ」

「ありがとうございます」


気が向いた時に何か働きかけ、そうでない時は相手が困っていても気にかけない
お互いを頼っているほどは傍にはいない
しかし、見えるところにはあるようなそういった関係

それが二人のペースだった







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