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風呂をから出たアカギが見たのは沢山の若い女性だった
皆綺羅びやかに着飾っている


「わあ、可愛い」


アカギを見つけるとわっと女達が押し寄せる
彼女らの黄色い悲鳴と共にアカギは腕をひっ掴まれあっという間に捕らえられた
正確には本気で抵抗すればどうにかなるが、流石に客に手を出すのは気が引けた


「どこの子?」

「水野さんのお子さん?」

「ね、名前は?」


一変に四方から話しかけられアカギが少々困っているのを尻目に、水野は奥の壮年の女性と話をしていた


「ねね、水野さん、あの子はどうしたの?」


一人の若い女が聞くと水野はうっすら笑って


「居候している友人です」


と言った。
友人だって、あやしーなどと女達が騒ぎ立てる
アルコールが入っているのか、妙に楽しげである


「そのくらいにしておきなさい、貴方たち。」


彼女らを牽引していると見える壮年の女性がごめんなさいねえとアカギに声をかけた
既に辟易していたアカギは彼女らの中を抜け出して水野の傍へ近寄った


「この人達は?」

「この町の赤線と呼ばれる場所で働いている方々ですよ」

「普段はこの時間働いているのだけれど、今日は早上がりでね。折角だから水野さんのお店に来ようってことになったの」


普段は身売りをしている女達がここに集まっていた
時たま水野が夜中に料理を持って出前に行っていたのはこの人達のところか、とアカギの中で一つ事象が繋がる


「水野さんの料理は美味しいのよねえ、やっぱり出来立てが一番。坊やは毎日食べてるの? 羨ましい」


アカギの隣に座る女が美味しそうに料理を頬張っている
露出度は高いがどこかに品がある
香水の匂いもほんのりと香る彼女らは、それなりの値段の場所に務めているのであろう
隣に居てもそこまで不快ではない
どういった経緯で客になったのか、水野の人脈は謎のままである


「アカギさんは麻雀が強いのですよ」


水野の鶴の一声で一気に麻雀をやろうと言う流れになった
当然アカギは卓に座らされる
他家にはじゃんけんで勝ち抜いた女性が三人座った
始まってしまったので仕方なくアカギも牌に手をつける

勝負が動いたのは10巡目


「リーチ」


アカギが点棒を投げる
他家の捨て牌をアカギが考慮して振り込むであろう待ちである
まだまだ山も残っている


「そう甘くは無いですよ、アカギさん」


後ろから水野がそっと言った言葉が、アカギの耳に響く
誰も振り込むことなく勝負は流局に終わった


「あらら」


決して手を抜いた訳では無かった
これはなかなか楽しめそうだ
聞けば仲間内で暇な時は麻雀をしているのだという

水野も、たまに混ざったりするのだろうか








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