1
アカギは厨房に入り、手にしていた包みを置いた
切れた醤油を買ってくるよう頼まれたのだ
水野は仕込みのため魚を捌いているところだった
「あ、ありがとうございます。今日は下に居ても大丈夫ですよ」
「え」
「ちょっと変わったお得意様がいらっしゃるので」
「へえ…」
今日は貸切か
自分のことが知られても大丈夫な客とはどんな客だろう
アカギは店開きの前に風呂を済ませるべく二階に上がった
多少店の手伝いをすることになるかもしれないが、そんなものは苦ではない
商売人の水野がどんな風なのか興味があった
水野の交遊関係にも
しかし、その一時間後、アカギは早く寝ておくんだったと後悔することになる