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観光は温泉巡りが主だった
有名な湯畑の他、西の河原通りなどの温泉街はアカギにも目新しいものだった
温泉で茹でた卵を食してみたりした
雪景色の中、人っ気の無い温泉街を歩いて回る二人は、そこに勤める人々をぞっとさせた
アカギは相変わらず学生服で、水野も足元の悪い中、変わらず着物だった
白地の模様が雪女か何かの様だ
雪は悪鬼と狐の姿をより顕著にした
「…っくしゅん」
「上着を着ているとはいえ、冷えて来ましたね」
「ええ」
白いアカギの肌が、寒さでより白んでいた
それからは古くから続く名湯をいくつも回った
風呂の方もすいていて楽だった
先に上がったアカギが館内をぶらぶらしていると、牛乳の自販機があった
丁度喉が乾いていたので、小銭を探していると後ろから手が伸びてきた
袖がアカギの髪を揺らし、覆い被さるようにして小銭を入れる
迷わず牛乳のボタンを押すと、フルーツ牛乳のが旨いですよと余計な指図をしてくる
確認するまでもなく水野である
「やっぱり気配がしない」
「そうですか?」
二人分の金額を入れたので、フルーツ牛乳を押しながらなんでも無さそうに水野が笑った