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見えている筈の天井が捉えられない、朧気な意識が浮上する
ここは、水野の家だろうか
あれからどのくらい経ったのだろう

時々誰かが部屋に入ってきて、額の手拭いを変えたり、何やら物音を立てたりしているのは分かった

また、障子の開く音がする

体が酷く熱を持っているのがわかる
かいた汗が生乾きで気持ちが悪い
目もろくに開けられない、呼吸も儘ならない
…情けねえ


「…ギさん」


水野だろうか
背中に手を差し入れられて起こされ、胸や頬が柔らかいものに触れる
どうやら、自分の寝ていた場所に何かを敷いているらしい
それよりも、今触れているものはなんだろう、冷たくて落ち着く
思わず両手をそれに回し、ぴったりと寄り添う

溜まっている熱が少し和らいで、また意識が沈んでいく
今度は深海深く、冷たい心地よさに包まれて
よくわからない安堵に、絶対に離すまいとしていた最後の線を手放した






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