11-3






アカギが徐々に水野から点棒を奪い始めた
半荘二回で水野が決めきれなかった後は一進一退の攻防が続いた
元々つまらないチョンボで片を付ける気は毛頭無い
吐き出せるだけ吐き出してもらう
アカギは骨まで食らう気でいた
水野の引き続けて来た綱の繊維を一本ずつ裁つことはどれだけ魅力的だろう

勝負を重ね続け、段々と技も見えるようになってきた
水野も出し惜しみはしなかった
一つの技が攻略されれば、次の技を、そのまた次を
狐との化かし合いが始まった
アカギに少しずつ己が喰らわれていく
勿論一矢報いようと絶えず脳は働き続ける
捕食者と獲物の関係は少しずつ逆転し始めていた
水野は笑っていた
自分の血肉である技をアカギが一つ一つ覚えていくことは水野を恍惚とさせた
この悪魔の糧になるために自分は技を磨いて来たのだ
アカギは水野の問いに答え続ける
獲物であっても水野はアカギを驚かせ続ける
求めたもの以上が返ってくる幸福感
ぎりぎりのところの生の実感
大きな上がりをサマで狙える以上、アカギの喉元に立てられた爪はまだ離れない
喰らい切るまではいつとんだしっぺ返しを喰らうかわからない緊張感が、場を支配する
水野のサマのネタは尽きない
いつまでも勝負をしていたかった
お互いが燃え尽きるまで



何度半荘が終わったことだろう



「水野さん、その牌だ…ロン」



水野が残り僅かの点棒をかけて放った強打
それがアカギを拾って勝負は終局した
水野が伏せた手配には最後の大勝負、大三元が詰め込んであった






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