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水野の雰囲気の変化が市川には瞬時にわかった

しかし、水野自身が変わっても早々流れは好転しない
一方で市川には跳満手が入っていた
リーチはかけずに水野からの直撃を必ず取れる形を待つ
牌をツモると、待ちに待っていた理想形が完成した


「リーチ」


市川がじっくりと網を張った手
これにかかれば、水野は飛んで勝敗が決まる


水野はじっと市川を見つめる
注意を払いながら、一つ一つ牌を切り続ける
そうして自分もあとイーシャンテンというところまで持ってきた
慢心は敗北を産む
次に山から持ってきた牌で満貫の手を張った
上がれば親満
しかし、ここで張るために切らなければならない牌は市川の危険牌
リーチを掛ければ更に後にリスクは残る
理で考えればリーチはしない方が良い
水野の直感はこの流れに乗れるだけ乗れと訴える

ここで大きく張れずに何が博徒か

点棒を取り出し、指で弾いてリーチを宣言した


…通れ


この勝負で一番に水野の闘気が乗った牌が、捨てられた






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