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「お布団、一つなんですか」

「何もしやしねえよ」


ほら、おいで。とアカギが隣を叩くので、そろそろと遠慮がちに水野が入ってきた
20年後にこの恥じらいを少しは分けてほしいものだ
そうすれば、もう少しちょっかいの出し甲斐がある
夕飯は食い物を買ってきて家でアカギが作った
それからまた麻雀をしたのでもう夜だ



水野は距離を計りかねていて一向に寛ぐ様子がないので、引き寄せて一気に近づいた


「子供体温。あったかいな、ちびは」

「そう、ですか?」


背中を叩いてあやしていると慣れたようで、自分から抱きついてきた


「あったかい、ふふ」


無理に矯正したような敬語や着物でいくら繕っても、蓋を開ければまだまだ甘え足りない子供だ


「眠るまでこうしていてください」

「ああ」


アカギの腕を枕にして水野が目を閉じる

時計の針が12時を回った途端に、先程までちっとも眠くなかったアカギに眠気が襲った
水野はもう寝息を立てている
尋常ならざる抗いがたい力の前になす統べなく意識が降下する


きっと明日の朝には、この水野はいなくなっている、そう直感した


もう意識は無いであろう水野の頭になんとか手を乗せる


「16年、待ってな。そうしたら…」


そうしたら、会いに行く


アカギの最後の視界も、瞬く間に闇に染まった






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