▼ 二回目
「ごちそうさまでした」
それはそれは美味かった。ここにある食材はボスの諸因かすべて高級だから当たり前かもしれないが、数日分の量はばっちりだ。
「にしても、静かだな」
会議はとっくに終わってるはずだ。俺が飯を作り終えた時くらいに。俺にとっちゃあ有り難い話だけれどヴァリアー的に考えれば有り難くない話。
嵐の前の静けさ?
ドアぶっこわされたくないのに。日頃の努力が一瞬にしてパアになる。壊された瞬間のドアの破片、外の空気の埃、なにより何処をほっつき歩いているか分からないスクアーロの靴、あと唾
「気色悪…」
ぶるっと想像しただけで体が震えた。あれで顔面が不細工だったら耐えられない。
「もうやめ。汚い」
早く部屋に戻ろう。
かぶりを振って踵を返しかけたとき、ピリピリとした空気が漂ってきた。この空気は――
ごくり、
「…………――」
「ボ、ス…」
まさか遭遇するなんて予想もしなかった目前の美貌に、声が掠れてしまう。
どうしよう緊急会議って実は今までより一番緊急だった?ボスが俺を探すくらい?ならば謝らないとと口を開きかけると突然腕を掴まれて、何処かへ連れていかれる。反射的に腕を引っ込めかけた。
「っ……!」
「…………」
「す、すいません。久しぶりに、人と接したので…つい。大丈夫です。ボスは、美人ですから」
直視してしまうと理性を保てなくなる故ちらちらボスを確認しつつ大丈夫だと告げれば、こちらを見ていた紅は前を向いた
怒られない……?
今日は普段と違うことばかりだ。
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