▼ 一回目
パリーンっとどこかでガラスの割れる音がした。汚い。
そしてつい先程ドアの隙間から乱暴に差し込まれた紙切れ。汚い。
そこに殴り書きされた‘緊急会議’の文字。汚い。
「あ〜…ッ―汚い…吐く」
けれど吐いたら汚い。から吐かない。いいや吐けない。緊急会議もどうせ緊急じゃないし汚いから行かない。本当の緊急時にはスクアーロが汚い靴で綺麗な俺の部屋の扉を蹴破ってくる。
「でも、腹減った…」
実はここ数日口にしていない。
部屋から出てもいない。
会話もしていない。
寝て起きて歯磨きして掃除して暇があれば手を消毒して手袋を取り替えて、、風呂入って掃除して消毒して…
自覚すれば尚更腹が減った。ぐるぐる情けない音が耳に響く
「仕方ない」
キッチンのある部屋へ行こう。
奴らとは緊急会議とやらで会う確率もないし、今がチャンスだ。
ぴっちりと革の手袋をはめて、数日ぶりの取っ手に手を伸ばした―――
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