エテルニタの果て | ナノ
01:挨拶をする
「あー!パパのアイジンだー!」
「エル?!」
ああ、最悪。面倒臭いことになった。ガキを甘く見すぎていたようだ。まさか遠慮もなく指を差されて注目を浴びる予定になるなんて。まあなってしまったものは仕方がない。俺はさっさとガキに近づいてしゃがんだ
「オイ、クソ餓鬼、そのパパとやらはどこ行ったんだよ」
「クソガキじゃないもん!エルはエル!」
「うっせえな!俺は腹減って死にそうなんだよ!」
「そんなのジゴージトクだし!」
「はああ?!」
「お、おい」
ぐいっとガキと手を繋いでいた奴が庇うように後ろに引っ張った。クソが、妙なマネしやがって
「なにすん……あ?」
ピクッとさっきみたいに俺の本能が反応する
「……?」
「アンタ、いい匂いすんな」
「は?!」
すうっと大きく息を吸い込みながらゆっくり立ち上がった。さっきの匂い、このガキじゃなくてこいつじゃねえか?そう思って、一歩近づいた俺はそいつの首筋に顔を埋める。そのまま深く深呼吸すれば、甘い匂いが流れ込んできた。
「うまそう」
「ッ、な………」
「もしかしてさあ、クルスニク一族?」
「る、ルドガーはエルの!」
ぎゅっと俺の脚にしがみついてきたクソ餓鬼。この反応はアタリだな
「パパやるからこいつくれよ、」
「それとこれとは話がベツだし!パパはパパでルドガーはエルの!」
「欲張りは吸い殺すぞ」
「ひっ!?」
ぱっ、とルドガーとやらの後ろに隠れた。まだ餓鬼だな
「で、ルドガー、アンタの匂いは覚えた。今日の夜、窓のカギでもなんでも開けとけ」
彼にだけ聞こえるように囁いて、踵を返した。流石に街のど真ん中、しかも昼間に血を吸うほど馬鹿じゃない。いい餌見つけちゃったな
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