エテルニタの果て | ナノ


17:いただく


「…─!、…い…なまえ──…!」


揺れる感覚。
甘い匂い。
聞き覚えのある声。


随分うるせえなあと残り少ない体力を使って、瞼を持ち上げた。

ぼんやりとしたシルエットが段々とはっきりしていく─


「うっせえ……」


「なまえ…!!」




なんで、コイツがここに。


まさか空腹がもたらした夢かと、すうっと深呼吸をすれば甘い空気が肺を満たした。


ああ、現実だ。



「……ルドガー、」


「っ…大丈夫か…?」


「腹、減った」


「あ…ああわかった!」


慌てているのか、もたつきながらネクタイを外して襟元を広げる。そして俺に跨がった彼は両手を俺の横についた。瞳の奥には揺らめいた何かが燃えているようで。

ギシ──とベッドが重みで軋んだ。


「…なまえ、、今すぐ、助ける」


解ったから早く首を差し出せと思うように動かせない体を恨みつつ、動脈に意識を集中させていたとき、不意にしっとりとしたものが唇に当たった。

仄かに甘いそれは、



ルドガーの唇だ。



控えめにぬるっと俺の咥内に入ってくる舌はもっと甘くてもっと熱い。


直ぐに渇いていた俺の本能がゴクリと喉を鳴らし気づいた頃には彼の頭を引き寄せて溢れてくる唾液をぢゅるぢゅる吸いとっていた。


「ッ…ん、ンん…っ─!ふ…」


たらりと顎に伝う唾液も舐めあげてまた舌を絡める。
刺激を与えれば与えるだけ溢れてくるそれは、噛みつきたくなるほどに甘い。


けれど、


「…、…足りない」


もっと、


「っ、?……──あッ!!!!」


グチ、と思い切り首に噛みついたせいで、根本まで深く食い込んだ。
どろりと咥内に流れてくるのはさっきとは比べものにならないほどの甘ったるさ。


吸う度にルドガーの体がビクビクと跳ねあがる。


「はッ…あ、うっ―なまえ…ッ痛…ッ──!!!」


ズブ──と体重を掛けて血管を圧迫していく。ああもう歯止めが効かなさそうだ。


「ん、…っ、ぁ…っあ──」


意識が失くなるまで、堪能させてもらおう。



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