▽17日



「またすごい甘そう」


「美味しいです」


小さなスプーンでクレープの中にあるバニラアイスを掬いながら、嬉しそうにテツヤが戻ってきた。


全体的に中身が白い。


「食べますか?」


「いいの?」


「はい」


じゃあ、とポケットに入れていた手を出そうとしたら、目の前にスプーンが近づく。


「………」


「名前くん?」


「あ…、うん」


いきなりすぎて不意打ちをくらったけれど、ぱくっと冷たいそれを口に入れた。濃厚だ。



「美味しいですか?」


「ん、美味しい…けど」


寒いだろ。


ふーっと確かめるように息を吐けば白いのが広がる。唇が一気に冷たくなった。


「こうすれば大丈夫です」


俺を見て何を思ったのかテツヤが腕を回してくっついてくる。おい、さっきからなんだこの子。でれでれだぞ。


「テツヤ、食べにくいだろ」


「黒…いえ。そう見えますか」


「…?、…いや、食べやすそう」


「もう一口どうぞ」


「二口くらいは?」


「分かりました」



そしてまたあーんされる。


…やっぱりおかしい。
クリスマスでもなんでもないのにこの距離感。


家なら別に気にすることもないけれど、ここは外だ。しかもショッピングセンター前。

ツンはどこいった。


「テツヤ」


「はい」


「ちゅーしていい?」


まあここまではでれてくれないだろう。そう横目で彼を見れば、アイスを掬っていた手が止まっていた。足かどっか踏まれそう。


「……」


「……」


「…はい」


「え………」


「え…?」


「はいって…」


ほんのり顔の赤い彼と目が合う。


数秒の沈黙。


そしてそのまま何も言うことなく、二人一緒に目を逸らした。



今日は暑いなあ。




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