▽16日




「俺トップ下かよ……」


お昼、約束通りコートへ行けばアホくさい奴らが居た。多分友達の言っていた相手だろう。わざわざこっちの大学までご苦労なことだ。


「………弱そう」


トントンとスパイクの履き心地を確かめて、ひっそり呟いた。ここのチームはサークルとは言えそこそこできる。何が言いたいってこの試合に俺が居なくても良かった。というかポジションを変えてほしい。トップ下って……面倒な役割を。


「おい!苗字!始まったぞ!」


「え、ああ…うん」


ぐいっとその場で伸びをしてから、小走りで雰囲気だけ出しておいた。本当ならガンガン攻めにいかなければならないが、相手のせいもあってやる気がない。現にこっち押してるし。


「お、ロングパス」


ぽーんっと相手がこっちにカットしたのか飛んでくる。でも俺にマークついてないし、相手は何を考えてか守備に皆回っていたり。馬鹿だろ…。味方居ないのにロングパス出す奴も奴だが、ひとりくらいオフェンス居ろよ。


そのオフェンスは慌てこっち走って来てるけれど、やっぱり馬鹿だな。


「っと……」


とりあえずボールは足で止めた。味方にはそっちにいろと走り出したのを手で合図して止めさせて、相手が近くに来るまで待つ。挑発されたなら挑発すればいい。


そんなボールを止めたままの俺から奪えるとでも思ったのか余裕こいた顔で来たから、少し下がって左足で思いっきりさっきの位置へとロングパスした。目には目を歯には歯を作戦。なんちゃって。



守備から今度は攻めにくるつもりだったんだろう。今度は全員が前衛だ。どこからそんな余裕が来るんだか。



「下手くそ」


カットしに来た奴に呟いたと同時、俺のボールを受け取った誰かが綺麗にゴールを決めてくれた。


ナイスシュート。




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