▽14日



最悪だ。

朝からテツヤはもの凄い機嫌が悪かった。大学では火神に殴られるし午後に入ってたバイトでは素っ気ない態度。帰ってきても部屋に篭ったっきり。あの顔は怒ってるというよりは拗ねてる。


「頭痛った……」


加えて俺は二日酔いだ。
出来るなら昨日の自分を殴りたい。覚えてないけど。


はあ、と深いため息をついた。同時に晩飯を作るために冷蔵庫を開けたけれど、中身を見て再びため息をつくことになる。



「まじで…」


見事にお茶と水とスポーツドリンク……と牛乳しか入っていない。

俺何やらかしたんだ昨日。

正直いつ家に帰ったかもはっきりしてないのが怖いところだ。気づいたら朝で、家に居た。もう絶対高尾和成くんとは飲みに行かない。絶対行かない。



「名前くん、」


「!……」


不意に背中に体重がかかった。誰がってひとりしかいないけれど、どうやらそれなりに機嫌が戻ったのか部屋から出てきたらしい。腰から伸びてきた腕に手を添える。


「テツヤ、」


「ボクの誕生日までお酒は禁止です」


とん、と彼の額が背中に当たった。


「それ、家でもってこと?」


「はい」


「……ショック」


「棒読みですよ」


「そう?」


「…………今日は、何作るんですか?」



ひょこ、と横から顔を出して、見上げてくる。普通に話してくれるみたいだ。


「パスタ」


「隣で見てます」


「いいよ」


火傷しないように。




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