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火神くんから、「苗字が手に負えない」というメールが送られてきた。

内心は慌てたままだったけれど、ボクにはあまり意味のない飲み会を抜け出すため赤司くんに頼めば思いの外あっさりと許可が下りた。


それが1時間前の出来事。

今は名前くん達が居るという店の中。火神くんの声は聞こえないが、もう一人、高尾くんの笑い声が微かに聞こえてくる。

ひとつひとつの個室で分かれているから様子はわからないけれど、勝手に入っても店員にはバレないだろう。


「…ここですね」


念のため、数センチほど襖を開けて確認する。

そこにはすべて諦めたでも言うように机に臥せる火神くんが居たので、正解だ。


「名前くん、帰りましょう」


「!、てつや」


上着、ネクタイ、ワイシャツ…それらを拾って彼に渡す。ズボンも脱ぐ気でいたのか、ベルトにも手をかけていた。


「えっ、ちょ、火神が黒子呼んだやつ?ぶっ…あははははっはらいてー!!服拾って渡すとかどんだけ!ひー!名前ちゃん素直に着るし…っ…ふは」


「だって、かえるっていうからさあ」


そして高尾くんは本格的に笑いだした。数分はあのままだろう。きっと彼は笑い上戸だ。


「ん、着たけど、あつい」


「着れてません。ボタン閉めてください」


「てつやがしてくれるならしめる」


「…………わかりました」


「ふ…、ちゅーもしてくれたらうわぎも着る」


「名前くん、」


「うん」



殴りますよ。




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