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「ハロー火神、」


「!、苗字…って」


キョロキョロ辺りを見回して、不思議そうな顔をする。残念ながら彼の探している人はいない。


「どうしたの?」


「いや、黒子いねぇんだなって」


「どっかにいると思うけど。カラフルな集団とか」


ちらっと目線だけその集団に移す。キセキの世代と言われるだけあってやはり人だかりが凄い。目の前の火神もなかなか有名人のようだけれど、比べれば差は大きいだろう。


「バスケってすごいな」


「は?いきなりなんだよ。つか、サッカーじゃあ苗字も有名じゃねーのか?」


「さあ…?たまーにスカウトが来るくらいかな」


大学にしつこいのが月一ペースで来ているのだ。サッカーは好きだが、選手になりたいという願望はない。どちらかと言えば、実況席に回りたかったり。


「ふーん、そんなも…――スカウト?!?!」


「もちろん断ってる」


「なっ、馬鹿だろ!!!」


選手派な彼には有り得ない選択だろうなあと、視線はそのままカラフルな集団を見つめていた。

そしたら、ぶんぶんとこちらに向かって手を振る奴が視界に入ってくる。


「……火神、どうしよう」


「…アイツか?」


「そう。昨日飲みに行こうってメール来てた、かも」


一緒に来る?いいや来いと火神の腕を掴んだ。


テツヤにも連絡しなければただでさえ機嫌の悪い今、さらに機嫌を損ねることになるだろう。相手も相手だ、約束もある。


俺の予想では大学の面子と飲みに行くはずだったのになあ。




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