▽8日




「火神」


「…?」


「病み上がりってかわいいと思う?思わない?」


冬休み明けの講義はもちろん火神も一緒で、さっそく授業なんてそっちのけの彼に話題を振ったら呆れられた。ひどい。


「………………黒子か」


「思うか思わないかの話」


「……まあ、好きなヤツならいつでもかわ、…いいって思うんじゃねーか」


「今の何の照れ」


「うっせ…!!」


「キュートキュート。テツヤイズキュート」


「去年より調子乗ってんだろ」


「まさか」


「そうかよ」


「うん」


ただ火神は昔の頃より弄りやすくなったなあ、とは言わなかった。殴られそうだし。


「火神」


「なんだよ」


「いや、特に」


ものすごい暇だということを感じとってほしい。この講義はノートなんて取らないからいっそうすることがない。用意だけしたルーズリーフは真っ白だ。断じて馬鹿じゃあない。一応ペンを動かしている火神のノートをちらっと覗けばそこは英語だらけだった。なに格好つけてるんだコイツ。


「火神」


「だからなんだよ!」


「なんで英語」


「は…?、ああ…日本語じゃ追いつけねーから」


「ああそう」


「おう」


確かに画数の多い日本語よりスラスラ殴り書きもしやすい筆記体は便利だ。便利だけれど、俺には無理である。まず英語のスキルがない。


必要ないしな。




/






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -