▽5日




「お久しぶりです。皆さん」

ゆっくり、テツヤが頭を下げる。その表情はどこか嬉しそうだ。


「久しぶり、黒子君。元気そうね。相変わらず見つけるのには苦労するけど…」


リコさんも、嬉しそうだ。
ひとつ不満があるとすればそれは集合場所である。


まあ確かにバスケ部の皆なのだからストバスというのは解らなくもない。ないのだけれど、ほら、皆もっとお洒落してきていいと思うぞ。テツヤもそんな動きやすい格好してさあ。火神なんて、やる気しかない。


「苗字君、」


「……な、なんでしょうか」


嫌な予感をキャッチしていた俺は、早速ミスディレクションの文字を呪文のように唱えていた。だって俺帰宅部だし。リコさんスッゴい笑顔だし。何より疲れる。


「最近、サッカーの方はどうなの?数値は…悪くないみたいだけど。脱いでくれてもいいのよ?」


一歩一歩、リコさんが近づくにつれて俺も下がる。皆アップしてどうするの。遊びに行こうよ。テツヤこっち向け。この際火神でもいいから。降旗も目逸らしちゃって裏切り者。


「いつもと、変わりませんって。脱ぐのは遠慮しときます。寒い」


「ふーん、そう。じゃあ、いっちょ行っとく?黒子君とこでいいわよ」


「ど、どこに」


「やだもー。ふふ、コートよコ、ー、ト、」


語尾にハートが付く勢いで、親指はリコさんらしくビシッとコートを指していた。俺が居たところで意味がない。もう一度言わせてもらえば、俺は誠凛帰宅部である。


「ポジションはそうねー適当にお願い。あ、いつも適当だったわね」


「…………………」



サッカーではの話ですけどね。




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