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ジャアアアっと蛇口から生温い水が溢れる。俺はつい先程食べ終わった食器を洗っているのだ。テツヤはお着替え中だ


「よし―っと。終わった終わった」


「名前くん…ボクがやるって言ったじゃないですか」


「あ、テツヤも着替え終わったか。どうするの?キセリョ」


「………そんなに黄瀬くんのことが気になりますか?」


「え…?気になるっていうか、かわいそうだなって」


「名前くん、」


「?、テツヤ……?……っん…」


ぎゅっと抱き着いて来たかと思えば、背伸びをしてキスをしてきた。
あーもう、仕方ないなあ
ぐっとテツヤの腰を抱き寄せて、舌で彼の唇をノックする


「ン…―ふ…ぅ…ッぁ――名前、く――」


くちゅん、ちゅううう――っと舌を絡めて、吸ったり舐めたりすれば、支えていた右手がどっと重くなった


「ふっ……腰抜けた?」


「……ッ」


「はい、終わりな」


くしゃくしゃ頭を撫でて、その場にテツヤを座らせる。しばらくは放心状態で居てくれるだろう。

俺はピッと問題児のいる向こうへ声が聞こえるようにボタンを押し、話しかける


「すいません、そこずっといられたら迷惑なんですけど」


『!!!』


ちょっと声をかけただけなのに、キセリョは凄まじい俊敏さを見せてくれた。こいつサッカーできるかなあ、興味ないけど


「あの、帰ってくれると――」


『だ、誰ッスかあんた!!黒子っちをどこにやったんスか!!』


グワッとインターホンが壊れるのではと思うくらいの勢いで迫ってくる。キセリョってこんな奴だったのか?


「人違いじゃないですかね、ここマンションなんで」


『ありえないッス…!!俺が黒子っちの部屋間違えるわけないッス!!』


「煩いな……帰れ」


頑張ろうと思ったけれど、やはりめんどくさくなったのでプツリと通話を切ろうとした――が


「黄瀬くん、」


『あ!!黒子っち!!!やっぱりいたんスね!!大丈夫なんスか?!そいつ誰ッスか!!』


「迷惑です。帰ってください」


『く、黒子っち!?』


「帰ってください」


『そ、そんなぁ〜…!ヒドいッス〜!』


「また明日」


そして今度こそ通話を切った。さらにはあれだけ引かなかったキセリョが涙ぐみながら去っていくではないか


「凄いな」


「最悪です……ボクの努力の結晶はたった今粉々になりました…」


「テツヤ……?」



どこか悲しそうに俯いた彼――出ないほうが良かったのだろうか?




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