▽24日




「すごい。カップルばっか」


キラキラの装飾のなか、はぐれないようにテツヤの手をとって、目的地へと進んでいく。今日はでれてくれるみたいだ


「どこ、行くんですか」


「ヒミツ」


「………」


「もうすぐ着くよ」


人の流れに逆らって、どんどんと道から外れていく。なるべく高い位置へ行けるよう足を運んで、着いた広場。ふたりきりだ


「どう?」


ゆっくり柵の近くまで近づいて、隣りにいる彼を見る


「綺麗です。でも、誰も…」


「オススメに気を取られてるんだよ、みんな」


けれどここまでいないとは正直思わなかった。雑誌を侮れない。ぼーっと輝く景色を見つめながら、改めて実感させられる。
そしてもうひとつ、クリスマスならではの効果と言えば、雰囲気がいい方向へ流れていくことだろうか。


「そんなにくっついてきて、寒いの?」


「名前くんが寒そうだったので」


「ああそう」


「はい。このあとはどうするんですか?」


「テツヤの好きにしていいよ」


「………わかりました」


どこに行きたいのかなあと紡がれるだろう言葉に期待を膨らませていたら、急に体が重くなった。目の前にあった水色は近くに移動していて、隙をつかれた俺はワンテンポ遅れる


「え…」


「…………」


「テツヤ、どうし――」


「好きにしていいと言われたので、好きにしてみました」


ぎゅっと背中に回された腕がさらに彼と俺とを密着させた。簡単に言えば抱きしめられているのだ。言葉の意味を掛け違えてはいないかと戸惑いかけて、おわる


「名前くんとこうしてると、落ち着きます」


「………帰ったら覚悟しろ」




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