▽21日



「火神、俺喰われるかも。こうやって」


フォークで刺すフリをして、言ってみた。ぽかんとしている。


「あと真太郎って本気でおは朝好きなんだな」


結局朝まで寝ていた真太郎が、起きるなりリモコンは何処だと迫ってきたのが決定的証拠だ。紫くんも同様起きるなりケーキは何処だと迫ってくるし。朝から疲労マックスである。征十郎くんは食べるだけ食べて泊まらずに帰るし、わけがわからない。泊まられても困るけれど。


「大丈夫かよ」


「何が?」


「喰われるって……」


「真面目か」


「って?!」


パシ、と彼の頭を叩いた。意外とさらさらだな


「征十郎くんに、こうされただけ」


「な!?」


記憶を辿って、できるだけ正確に真似てみれば、見事に火神は椅子から落ちた。ちなみにここはファミレスである。まさかそこまで反応してくれるとは、何事もやってみるものだ。


「大丈夫?結構ダサい落ち方してたぞ」


「殴りてぇ」


「無理。あ、テツヤにしたらどう反応するだろ」


ぱく、と野菜を一口。苛立ちで震えながらも座り直した彼はため息をつくだけだ。最近呆れられている気がするのは、何故だろう


「黒子に聞け」


「やれってこと」


「違…いや、そう」


「今諦めた?」


「………トイレ行ってくる」


俺の問いには答えずに、立ち上がってトイレだろう場所へ去っていく。


逃げたな。




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