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「バースデーソング、、希望?」


テツヤに寝ろと無理矢理部屋へ押し込んでからリビングへ戻れば、案の定臥せられていた赤色は元通りだった。俺はそれについて特に何も言わないで冷蔵庫からケーキを取り出して、机に置いた。どうやらホールではないらしい


「必要ない、と言っておこう」


「………で?どのケーキ?」


身長のわりに可愛いげがないと思いながら箱を開ければ、ショートケーキだと直ぐに答えが返ってきた。こいつにギャップはないのか。面白くもない


「どこから計算してた?」


「計算してた……?」


さく、と綺麗にケーキを刺しながら、おうむ返しで答えてきた彼。どう考えてもわざとだ。テツヤって中学、高校を含めこんなやつとバスケしてたの?


「……狸寝入りしてただろ」


「ああ―」


「……」


「テツヤの隠し事が解ってスッキリしたよ」


「………質悪」


ということはこの場で夕飯をとろうと彼が言った時点でアウトだろう。計算ではなく、計画だ。


「それは互いに言えることだ」


「……自分で性悪だって言ってるの?征十郎くんって」


名前を強調して言ってやればピクリと眉が動いて、俺を見た。威圧的だなあ。


「う…わ、!」


と、のんびり考えていたら、不意に三つの尖ったものが目の前に現れた。びっくりして少し身を引いてしまう。


「あまり調子に乗るなよ、名前。僕はその場に相応しいことを言ったまでだ」


「偉そうな…。これ、人に向けるものじゃないから」


彼の手にあったもの、フォークを指差して、戻せと目線で訴えた。けれど返ってきたのはなんとも挑発的な言葉


「向けるものでもある」



彼がフォークを戻したのは、その後だった




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