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「…どうも」


「いや、いいよ」


すとん、と荷物がサッカーコートの上に置かれた。その人はコートを見て広いだとかすごいだとか言っている。紫くんは相変わらずお菓子を食べながら何食わぬ顔だ。


「これから?」


「……見ての通りだと思いますけど…」


「見て行こうかな」


「……どうぞ」


「随分と素っ気ないんだね」


「興味ないんで」


「興味ない、か。アツシと似てる部分があるのかな」


「さあ………知りません」


で、こいつは誰ですかね、紫くん。と視線で訴えたのだけれど彼は俺を見つめるだけだった。室ちんだと言うことは話の流れで解る。しかしそれだけだ。コートの反応を見た限りこの大学の奴ではなさそうだけれど、大学というものは広い。断定はできない。ただ、纏っている雰囲気はあまり好ましくない。


「ポジションは?」


「特に」


「え?」


「今日はMFでいきます」


「うん…?」


「やっぱりDF」


「気分屋だね」


「…ただの策略です。そっちのが都合いいんで」


「oh…それは予想外だ」


なんて、ミッドフィルダーは今日のメンツから考えると待ったをくらいそうだと思っただけだ。それに普通に遊ぶために誘われたのであまり攻撃に回るのはおもしろくない。けれど手加減は無用。遊びとは言え負ければサークルに強制参加なのだ。まったくもってとんでもない条件をだしてくる友達である


「あだ名ちんがんばれー」


「………ああ」


キュッとスパイクの紐を結んでコートに入った。応援してくれるのだから1本くらいガチのシュートを打ってもいいかなあ


退屈な試合を見せても意味がないしな




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