▽■ 「テツヤ、作りにくい」 「名前くんが悪いです」 「ごめんって」 オムライスを作っている最中、テツヤが腰に抱き着いてきて包丁が使えなくなった。昨日やファミレスでの件を話したらこうなってしまったのだ。 「名前くんはこれからお酒禁止です」 「はいはいわかった。ほら、玉葱切るから」 「名前くん、」 「なに、」 ぎゅっと腕の力が強くなる。煽るの上手くなったなあ。あまり俺の理性は強くない 「好きです」 「…………」 ぱちり、 上目遣いになっているテツヤと目が合う。身長からしていつもそうなのだがこの感じは意図的にやっているだろう。 「名前くん、」 「………誘ってる?」 「……どうでしょうか」 「どっち」 「っ……」 するりと片手をTシャツの中に入れてテツヤの腰を撫でた。案の定ぴくんっと反応する。 彼は俺にくっついているからどんな反応をしたかが簡単に伝わってきて口許が緩んだ 「テツヤ、」 「…だめ、です」 調子を合わせてくるのかと思ったらぎゅッと俺の手首を掴んでやめろと腰から離された。 「なんで?」 「名前くんの自業自得です、我慢してください」 「…………最悪」 ぱっと今度は俺から自重をこめてテツヤから離れる。今回は俺が悪いので致し方ない。最初からこのつもりでいたな。ハメられた 「ボクも手伝います」 「え……卵割れる?」 「なめてますか?」 「まさか、力加減気をつけて」 「わかってます」 とは言ったものの、すぐに危ない音が右から聞こえてきた。玉葱を切ろうとした俺の手も止まる 「……テツヤ」 「セーフです」 「優しくな」 「はい」 ← / → |