▽5日 「ふー…疲れた。遅くなっちゃったな」 すっかり日が沈んだ頃、友達と結構ガチなサッカーをしていたらこんなことになってしまった。一応メールでサッカーしてから帰るとテツヤには伝えてあるから大丈夫だろうけど 「あ、ストバスだ」 ちらっと目に入ったそれ。でも俺は目が離せなくなった。そこには彼がいたのだ。誰かと、一緒に 「あの…青峰くん、ボクそろそろ」 「あー?最近付き合い悪ぃな。カノジョでもできたか?」 「違いますけど…」 「黒子?」 「!!!」 気になったから、コートに近づいてテツヤに声をかけてみた。やっぱりびっくりしたみたいでほんの少し大きな瞳が見開かれる。あおみねくんって中学時代の友人の青峰くんで合ってるのか 「誰だお前」 「………さあ」 「はあ?」 「あ、青峰くんボク帰ります。行きましょう」 「わ、黒子」 「おい、ちょっと待て」 ガシ、と俺の肩を掴んで引き止めた。テツヤは俺の腕を引っ張ってるからすごい図である。あおみねくんでかいな。火神くらい? 「だってさ、黒子」 「彼は………友達です」 「友達…?」 「火神くんの同じ大学にいる人、です」 「へーじゃあお前今からバスケ付き合え」 「は?」 「青峰くん、ちょっと待っ…」 ずるずると出ようとしたバスケコートに引き戻される。声かけないほうがよかったかもね 「一回だけでいいぜ。1on1だ。バスケは?」 「……授業でかじるくらい」 「はっ…じゃあハンデやるよ。先攻くれてやる」 ぽす、と綺麗な弧を描いて俺の手にボールが渡る。勝てそうにないな。俺火神にも勝てないのに。しかしテツヤの前でカッコ悪いところ見せたくない。今だって心配そうに見ている 「わかった、ルール追加してもいい?」 「……?」 「俺、サッカー好きなの。だから足でバスケしていい?」 「どうやって」 「安心しろ、転がさないから。リフティングで―と、重いなあこれっと。そろそろ始めるぞ」 「………」 あおみねくんは物分かりがいいようで、ルール追加に文句も言わず体勢がバスケスタイルに変わった。すごい迫力。でも― 「よッ………―――!!」 一番高くボールを上げて、数歩後ろへと下がる。そして落ちてくるボールに合わせるようにシュート態勢に入った 「な…!!」 「あおみねくん残念、反応遅い」 ドスッと足に当たったそれはシュートを手助けしてくれる四角い枠に当たって、すっぽりと入ってくれた。よかったよかった 「俺の勝ちってことで。帰ろう黒子」 「…あ、はい」 シーン― 彼が静まり返っている間に、そっとテツヤの手を取ってストバスコートを後にした ああいうタイプの人間は今のうちに帰らないと面倒だもの ← / → |