「知ったようなことを!!」

「いや、確かに奴の言う通りだ」

『え…』

「リボーンさん!?」


「ツナの体は憤怒の炎を吸収しきれず摩耗している。こいつを使っても勝ち目はなさそーだ…」


「そんな!!」


「リスキーすぎるしな。死ぬ気の逆とは強制的に生命力を枯渇させる危険な状態である上に敵の攻撃をうけるタイミングを間違えば直撃をくらう」


「で…ですがリボーンさん!!拙者達はこの技を目指して修業してきたんじゃないんですか!?」


「そうだとも言えるが違うとも言えるな…」


『マジ…つまり、なんですか』


「死ぬ気の零地点突破は初代が使った‘技’という印象が強いが正確には技を導くための死ぬ気とは逆にある‘境地’のことだ」

「境地?」

「もしツナがその境地に達していたとしてもあみだされる技は初代とちがう可能性がある」

「そっそんな…では失敗なんですか?沢田殿は何のためにあれほど厳しい修業を……」


『バジル……。―――ん?』



ザンザスの声で視線を戻せば、なにやら綱吉くんの表情が変わった。


「しっかり狙えよ」


「なに?」


「次はうまくやってみせる」



「沢田殿…?」

「ボンゴレの血。ツナの超直感が何かを見つけたらしいな」



「零地点突破―――改」



すっ、と左手を逆さにしてトライアングルからスクエアの形へと変わる。


「ふっ、まだ零地点突破とぬかしやがるが…何度ハッタリをかませば気が済む―本物の零地点突破にそんな構えはねえ!!」


「なに!?」

「またあいつ…!!零地点突破は初代しか使えなかった技…根拠もないクセに!!」

「………まさかな」


リボーンさんが何かを呟いていたが、俺はモニターに集中したまま気に止めることはなかった。


「オレはオレの零地点突破を貫くだけだ」


「まったくこざかしいカスだ。二度とその技の名を言えぬようかっ消してやる――次元の差を…思い知れ!!」


「く…っ!!」


「あぁ!?」


ドゴォ――銃口からいくつも炎が放たれ、吹き飛ばされる。彼も負けじと体勢を立て直すがそれは叶わず、炎の蕾―と新たな技をザンザスに仕掛けられ、それがヒットしてしまう。

けれどザンザスは攻撃を止めはしない。


「ああ?どーした?もう飛ぶ力すら残っていないか!?」



「あいつ…なぶり殺す気だ!」

「さ…沢田殿が!」



「ふはははは!!絶望を味わえクソモドキが!!―――――!?」


もう片はついたと余裕を見せたザンザスだったが、ぐぐっと綱吉くんが起き上がろうと動いたことで再び怒りの表情を浮かべる。


「っ………カスが……どいつもこいつも!カスの分際で!!―オレに楯突くんじゃねぇ!!!」


我慢の限界がきたのか、キュオオオと凄まじい勢いで奴の炎が吸収され、今日一番の一撃が綱吉くんへ飛んでいく。


「やべぇ!!」

「とどめをさす気だ!!」

「沢田殿ーー!!」



「永遠に散ってやがれ…ドカスが……!」


『いいや…!綱吉くんはまだ、』

ボウッと後ろを向いていたザンザスの方へ、綱吉くんが現れた。


「次はオレの番だ。XANXUS」


「な、に!!――くっ、死にぞこないが!!!――!?」


「XANXUSのスピードに……」

「追いついてる!!」



「ぬぅ…のやろう!!!――――ガハッ」


みるみる奴に追いついて、綱吉くんは言葉通りに反撃をしていく。


「いったいどーなってんだ!まるで動きが違う!!」


「おのれ!!」


ザンザスが炎の鉄槌―と技を放ったと同時に、避けることはせず、綱吉くんは改の構えをとる―そしてそのまま奴の炎は吸い取られ、瞬間――ゴアッと彼の炎が増大した。


「あれは!」


「なるほど、それで‘改’なんだな―ツナの奴、XANXUSの炎を吸収するだけでなく、自分の力に変えてるんだ」


『へー綱吉くん冴えまくりってことですか…奴も予想外でしょうね』


イライラしているのが見て取れる。こちらとしてはざまあみろだ。


「こんなことが…、こんなことが―あるわけがねえ!!!」


ガッと二人が張り合う――



吹っ飛ばされたのは、





ザンザスだった。


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