「おい、ツナの奴…スピードが落ちはじめてるぜ」
「ちげーな。XANXUSが徐々にスピードをあげてるんだ」
「おいおい嘘だろ?もう精一杯か?」
吸収された炎が、ドドドドと一気に連射された。それは避ける暇もないままに綱吉くんへと直撃する。
「沢田殿!!」
「実力の差がこれほどとは…今の一撃かなりやばいぜ…」
「直撃をしのいだだけでもラッキーとしなきゃな」
「!?、しのいだ?」
『じゃあセーフか』
モニターには確かに、綱吉くんが映っていた。どうやらベストがあれをしのいだらしい。
「レオンが服にしたおまけのおかげで助かったな。ツナのベストだけ10倍の厚みにしてくれたんだぞ」
「だが今ので吹き飛んだぞ。しかもXANXUSはまだ余裕だぜコラ!」
「次のラッキーは…もうねーぞ」
「それはツナが一番わかってるぞ。ツナの奴…あれをぶちまかす気だ」
そして人差し指と親指で、トライアングルを作った。途端に炎が噴き上がる。
「あ…あれは…さ…沢田殿!」
「あんな所で炎を放出して………何のつもりだ………?」
「炎をムダに垂れ流すのは命とりだぜコラ!!」
「フハハハ、勝ち目がないと見てヤケになったか」
『いいや…』
「ちがう…沢田殿はやる気だ!」
ボッボッボッ―綱吉くんの炎がノッキングするように不規則になる。
そう、あれは――
「!!!、死ぬ気の―零地点突破!!」
『!、え…いま、』
「零地点突破?修業してた技か!」
「!?、XANXUSの顔付きが変わったぞ!」
「なんであいつが知ってんだ?」
「させねえ!」
急降下するや否や、スピードをさらに上げて綱吉くんに攻撃を繰り返す。
「やべーな。これじゃ集中できねえ」
「そこまでして阻止したい零地点突破ってのは一体…!」
もう一度構えをとった彼だが、直ぐさまザンザスが連射を放つ―
「消えろ!!」
「!!……ッ」
「あれでは!」
『ッチ…』
「当たる!」
「沢田殿ーー!!」
ザー…と衝撃でモニターが砂嵐になった。映し出されたそこには――炎の消えた彼の姿。
「くそっ」
『綱吉くん…』
「ふっ、死んだか…バカなカスめ。てめーの死期をてめーで早めやがった。くだらねーサルマネしやがって。ふっ、よく考えりゃカスごときにできるわきゃねーのにな…―カスはカスらしく灰にしてやる――――!!」
そのときだ―
ブオオと莫大な炎が綱吉くんから噴き上がったかと思えば、その勢いで再び彼は立ち上がった。
「なに!?」
「リボーンさん!!」
「ああ、成功だな。死ぬ気の零地点突破」
『ったくフェイントかけんなよポンコツ…』
しかし、ザンザスが意味深な発言をすることでまた降り出しに戻ってしまうのだ。
「……それが初代が使ったという死ぬ気の零地点突破か」
「そうだ」
「ぷふ…ふっふっふ―ぶっはっはっは!こいつぁケッサクだぁ!!――誰に吹き込まれたかは知らんが、零地点突破はそんな技ではない!!」
『はあ…?』
「なんだって…」
「本物とは似ても似つかねーな。考えてもみろ、腐ってもボンゴレの奥義だぜ…使い手がそれほどダメージを受けるチャチな技なわけねーだろ!!」
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