「…………お、飛行機雲」


寝転がって、ぼーっと雲ひとつない空を見上げていたら、不意にそれが雲を作った。そして、屋上の扉がキィっと音をたてる


「もうお昼休みだよ」


「……ふーん。」


「何かあった?」


よいしょ、と困った表情で俺の隣りに座り込んだのはマティスくんだ。夏なのに肌白いなんて罪だぞ。


「おひとよしー」


「うん、よく言われる」


「知ってる。まったくさー、たった数時間無断欠席したくらいで。。マティスくんはいつからそんなに俺が好きなんだか」


「だ、誰が欠席しても一緒だよ!」


「そっか…」


「おなまえ……?」


「つうかね、マティスくんもさ、いい加減解ってるだろ。俺がたまに無断欠席するって。そう何回も気にかけなくていいから」


「で、でも、心配だし」


「はー…………めんどくさいなあ」


俺だって毎日毎日ミラちゃんのおっぱいな気分じゃないのだ。たまには落ち着きたいのだ。それに最近、マティスくんのことが頭から離れないんだ。なんでなのか、なんて本当は知っている。その理由を。俺、本気になったんだよ。


「まあだからさ、ほっといてほしいんだ」


口から溢れた言葉は、考えてることとは全く違った。

「……………午後は、ちゃんと来てね」


長い沈黙のあと、彼は屋上を出て行った。


ごめんね。



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