05
「風呂に水張った?」
暫くして落ち着いた俺はタオルで頭を拭きながら鯖を食ってる遙君に訊ねる。ちゃんと服着てるじゃんか畜生。
「ああ」
「なんで水?」
「……」
「…まぁいいか。食べ終わったらちょっと付き合って」
彼の必要最低限のものを揃えなければいけない。運良く今日は休日だ。
「そういえばこの鯖ってどっから……あ、」
おとつい安かったから買ったんだった。
それより、これから飯は二人分になる。飯だけじゃない。色々と二人分になる。やっすいおんぼろアパートに住んでるお陰で貯金はそれなりにできているが、正直キツい。
「遙君……バイトしようか」
「、嫌だ」
「ならその鯖取りあげ」
「!、嫌だ」
「遙君、」
「………………」
「…いや、」
待った。
この世界には七瀬遙を知る人が大勢いる。 そんな世界で彼を働かせるのはいかがなものか。
……まぁ、方法はなくはない。
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