01
「………え、…っと……」
「………………」
どういう、ことだ。
目の前に遠慮なく座っている半裸……水着姿の青年。
腹筋すげぇなぁとか、なかなか俺好みだなぁとか一瞬でも思ってしまった自分を懲らしめたい。
とにかくそんなことを考えるくらいには俺の頭の中は混乱していた。
あれから中に入って電気をつけて、黒い物体の正体が判明したのだが、それはおばけでも泥棒でもなく若い青年。しかも半裸の。変態野郎かと焦ったが、こいつからはそんな雰囲気は感じない。
どちらかと言えば、困ってるような、怯えてるような……。
とりあえず、、あれだ、
事情聴取。
「ゴホン……えーっと。まずはー…どっから入った??」
「……、……知らない。気づいたらここの風呂場に居た」
……………………………………ん?
「……風呂場??」
「そうだ」
風呂場?????????
「…理解できないんだけど、」
「俺だってできない。俺はただプールで泳いでただけだ」
「は?じゃあ……あがったらここの風呂場だったって?」
「……ああ」
もう一度言おう。
どういう、ことだ。
気を取り直したはずがまた振り出し。
まぁ仮にこの青年の言うことを信じるとしたら、つまりそれはワープしたとかいうファンタジーな世界になる。普通に考えてそんなことできるわけがない。けれどこいつが嘘をついてる風には見えない。だったら、なんだよ、もう信じるしか――……。
「そう、だなあ……名前は?」
「、七瀬遙」
「遙、君ね。俺はみょうじなまえ。一応聞くけど、ここどこだか分かる??」
「……?、岩鳶じゃないのか……?」
「……ん?」
「岩鳶、」
いわ、とび??
どこそれなにそれ新鳥類?……じゃなくて、俺が知らないだけで岩鳶という場所がこの近くにあるのかもしれない。むしろないと困る。
一先ずワープの件は置いておいて、彼の言う岩鳶を手に持っていたスマホで検索にかけた。
数分後、俺はもっと絶句することになる。
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