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6月30日。
それはちょうど一年の半分が終わる日で、夏が近づいてくる日でもある。もしかすると何かの記念日や誰かの誕生日だったりするかもしれない。
けれど大半の人にはどうってことない日。俺もそのひとりだ。いや、ひとりだった。
今日は俺にとっては23回目の6月30日。去年から社会人になって、まぁまぁ仕事にも慣れてきた。今は実家を離れてぼっろいアパートに一人暮らしだ。
もちろん今日も仕事から帰ってきて、これから晩飯の仕度を〜……と鍵を開けたときだった。
何か、居たのだ。
いやまぁ形的には人間ですね。
一応現実逃避をしてみようと開けた扉を閉めたのだが、さて、どうしようか。
「…………」
戸締まりはしっかりしていたはずだ。なら抉じ開けて?おんぼろだからそれもできなくはないだろう。
ここは警察に通報か??通報するか??しちゃおうか??
「でも、静かなんだよなあ」
そう。泥棒にしては見つかったのに何もアクションを起こしてこない。逃げるような音も聞こえない。
油断は大抵なんだけどね?
「……、…………よし」
この際殺されたら殺された。逃げれたら逃げれた。どうにでもなろう。
俺はそう決心して、もう一度部屋の扉を開けた―――
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