02
"可愛い"。
少年は、それなりに年をとったおば様方にそう騒がれそうな顔立ちだった。
日織もおば様受けは良いのだが、彼はその上を行く。
にこにこと笑う日織を見て、恒介は早々に敗北を悟った。
自分は彼に勝つことは出来ない。
日織はおそらく、この幼馴染みを取るんだろう。
「ちょっ、恒介、何でネガティブオーラ出してるんだよ?」
恒介は、声をかけた日織を虚ろな目で見上げた。
が、凹みすぎて言葉も出てこない。
「なぁ、どうしたんだよ? 俺が何かした?」
「……美男揃いなんだな」
やっとのことで、そう絞り出した。2人と自分が違っている気がして、恒介は絶望感に襲われる。
一方言われた日織は水静に目を向けて、首を傾げた。
「美男って誰? まさか水静じゃないよね。こんなん美男じゃないもん」
いや、どう見ても美男だろ! 日織も含めて! とヤケクソに叫びそうになったのをこらえ、恒介は深く息を吐き出す。
「いいよ、かっこよさは他人にしか――」
「日織、聞こえてる」
言いかけた言葉は途中で遮られた。
部屋の中に視線を戻すと、水静がこちらを見ている。
「だって水静、自分でもかっこいいとは思わないだろ?
それより、こっちが中学からの友達で恒介。
で、あっちが幼馴染みの水静」
日織が手短に紹介し、恒介の手を引いて部屋へ入る。
水静と向かい合う形で座らされ、握手までさせられた。
そこで何言か会話を交わし、荷ほどきが残っていると言って先に水静が帰っていった。
これが恒介と水静の出会いであり、恒介が彼に関して最初の挫折を味わった時でもあった。
>>続く
しばらく間が空いたせいで、何を書いていたか忘れかけ……。
なんかもう、恒介って不憫だよね←
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